売るときの本人確認
金を売りに行くと、身分証を見せるよう言われるのはなぜ?——買い取る店には相手を確かめる決まりがあり、200万円を超える売買では確かめることが増える
金の指輪を売りに行ったら、身分証を出してと言われ、少し身構えたことはありませんか。
中古品を買い取る古物商には、売りに来た人を確かめる決まりがあります。貴金属等の売買で代金が200万円を超えると、確かめることが増えます。
何を聞かれ、どの書類が使えるのかが分かれば、店に行く前に準備ができます。
・古物商は、相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめる
・200万円を超える貴金属等の売買では、取引の目的や職業も確かめる
・個人なら運転免許証や旅券などが確認書類になる
買い取る店は、なぜ身分を確かめるの?
古物営業法が、買い取る前に相手を確かめるよう定めているからです。第15条の書き出しは次のとおりです。
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
確かめる方法の1つめとして、同じ条は次の号を挙げています。
相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
店が住所や職業を尋ねるのは、この決まりに沿った手順です。窓口で聞かれても、店の側の都合で聞いているわけではありません。
どんな場合でも、確かめられる?
条文は、確かめなくてよい場合も挙げています。その1つが、代金が国家公安委員会規則で決める金額に届かない取引です。
対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)
その金額がいくらかは、この条文そのものには書かれていません。この記事では、国家公安委員会規則までは読んでいないので、金額は書きません。
200万円を超えると、何が変わる?
確かめることが増えます。神奈川県警察の頁は、貴金属等を売買する古物商と質屋に掛かる、犯罪収益移転防止法の決まりを説明しています。
頁によれば、代金が200万円を超える貴金属等の売買では、店は相手の本人特定事項を確かめます。個人なら氏名・住所・生年月日です。
それに加えて、取引を行う目的と職業も確かめることになっています。古物営業法の確認と比べると、目的を聞かれる点が増えます。
同じ頁は、「貴金属等」に入る物を3つに分けています。
- 金、白金、銀及びこれらの合金(貴金属)
- ダイヤモンドその他の貴石、半貴石及び真珠(宝石)
- 上の2つの製品
確かめるのに、どの書類が使える?
個人なら、運転免許証や旅券などです。神奈川県警察の頁が挙げている書類を、そのまま表にしました。
| 売る人 | 使える書類の例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人 | 運転免許証、住民基本台帳カード、健康保険証、国民年金手帳、旅券、在留カード等 | 神奈川県警察の頁 |
| 法人 | 登記事項証明書、印鑑登録証明書等 | 同上 |
表は、200万円を超える売買で確かめるときの書類として、県警の頁に載っているものです。
確かめた記録は、どうなる?
店が作って、7年間しまっておきます。神奈川県警察の頁の書き方です。
特定古物商等は、上記(1)又は(2)の確認を行った場合には、直ちに当該確認に係る事項、確認のためにとった措置等に関する記録を作成し、7年間保存しなければなりません。
記録の中身として、頁は、確かめた人の氏名や、本人を確かめた方法などを挙げています。
店に見せた身分証の内容が、そのまま長く残ると思うと、気になる人もいるでしょう。記録を作って残すのは、店の側に課せられた務めです。
頁の冒頭は、貴金属等を売買する古物商と質屋に、疑わしい取引の届出の務めなどが課せられると書いています。務めを負っているのは、売る人ではなく店のほうです。
同じ頁は、届出の対象になりうる例も挙げています。短い間に同じ人が多くの貴金属を売る場合や、売り急いで相場を大きく下回る値でも構わないという場合です。
こうした例は、店が注意を払う目安として並べられています。例に形だけ当てはまっても、それだけで届出の対象になるわけではない、と頁は書き添えています。
普段どおりに品物を売る人にとっては、身分証を見せて質問に答えることが、この決まりの中での役目になります。
店に行く前に、手元で確かめること
- 顔写真のある身分証を持っているか(運転免許証、旅券など)
- 売る物は、金・白金・銀、宝石、それらの製品のどれに入るか
- 売る金額が、200万円を超えそうか
- 住所・氏名・職業・年齢を聞かれても答えられるか
あなたの場合は、どれに当たる?
- 指輪を1つだけ売る:古物営業法の確認(住所・氏名・職業・年齢)に答える準備をしておく
- まとまった量を売り、200万円を超えそう:取引の目的や職業も確かめられる。身分証のほかに、聞かれたら答えられるようにしておく
- 売ったあとの税金が気になる:金を売ったときの税金の記事を読む
- 海外で買った金を持ち帰る:税関の申告の記事を読む
この記事で扱っていないこと
- どの買取店を選ぶか:このサイトでは、どの店がよいかは書きません
- 確認が要らなくなる金額:国家公安委員会規則で決まる金額で、この記事では読んでいません
- 金の地金が古物に当たるか:この記事で読んだ2つには書かれていません
よくある質問
身分証を持っていないと、売れない?
この記事で読んだ条文と頁は、身分証が無いときにどうなるかを書いていません。店に前もって問い合わせるのが確実です。
200万円に届かなければ、何も聞かれない?
古物営業法の確認は、200万円より低い金額でも掛かります。確かめなくてよいのは、国家公安委員会規則で決める金額に届かない取引などに限られます。
確かめた記録は、何年残る?
神奈川県警察の頁は、7年間保存しなければならないとしています。200万円を超える売買で確かめた場合の記録です。
出典
- 古物営業法 第15条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- 神奈川県警察「貴金属等の売買を行う古物商及び質屋の皆さんへ!」(更新日 2025年11月13日) https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/eigyokankei/kobutsu/mesd0048.html
上の出典を引いて確かめた日: