なぜそうなるか
海外で買った金の地金を持ち帰るとき、税関への申告は要る?——税関は、純度90%以上の金の地金が1kgを超えると申告書の提出が必要だと案内していました
旅行先の空港や街の店で、金の地金や小さな金のバーが売られているのを見かけることがあります。
旅の記念に一つ、という人もいるでしょう。理由はいろいろでも、買ったあとには持ち帰る場面が必ず来ます。
帰りの飛行機でふと気になるのが、税関の扱いです。宝飾品と同じように手荷物へ入れてよいのか、何かの書類が要るのか、到着するまで分からないままになりがちです。
帰国してから売ることを考えている人なら、なおさらです。持ち込みの手続きに抜けがあったと後で知るのは、避けたいところでしょう。
この問いには、税関が自分のサイトで答えを出しています。現金や有価証券と並んで、金の地金についても、申告が要る線が書かれています。
そこで、税関の「支払手段等の携帯輸出入の手続」のページと、その「よくある質問」のPDF、金の密輸対策の2つのページを開き、関係する部分を原文のまま並べました。手元の金にどの扱いが当たるかは、この記事では判断しません。
・純度90%以上の金の地金が1kgを超えると、税関への書面の申告が要る
・申告の書類は「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」
・入国のときは、税関検査の際に提出する
・申告をしないで持ち込むと、関税法の罰則の対象になりうる
・税関は、疑わしい形状の金を買い取らないよう協力を呼びかけている
金の地金は、どこからが申告の対象なの?
少しの金なら、何も書かずに持ち帰っていいの?
「支払手段等の携帯輸出入の手続」のページは、申告の対象を2つに分けて並べます。1つ目は現金や小切手、有価証券などの合計額で、2つ目が金の地金です。2つ目の書き方は、次のとおりです。
(2)金の地金(純度90%以上)の重量が1kgを超える場合
純度の線は、よくある質問のPDFでは別の言い方になります。
金額ではなく、純度と重さの2つで線が引かれている点が、現金の申告とは違うところです。金地金については、金の含有量が100分の90以上のものです。
金貨や金の装飾品も、同じ線で数えるの?
今回読んだページには、金貨や装飾品をこの「金の地金」に数えるかどうかの書き分けがありませんでした。当てはまるかどうかの判断は、記事の中ではしていません。迷うときは、ページが案内している税関相談官に尋ねる形になります。
申告には、どんな書類が要るの?
申告って、口で伝えれば足りるの?
よくある質問のPDFは、この制度が口頭から書面に変わった経緯から説明を始めます。金の地金が書面の申告の対象に入ることは、問い2の回答で分かります。
申告書の様式は、空港や港の税関に置かれているほか、税関のホームページの様式を印刷して使えると、同じPDFの問い5にあります。携帯して1キログラムを超える金の地金を輸出し、又は輸入しようとする場合が、書面による申告の対象となります。
入国のときは、どこで出すの?
飛行機を降りてから、どのタイミングで渡せばいい?
問い4の回答の最初の一文が、入国のときの出し方です。
入国時は、税関検査の際に支払手段等の携帯輸出・輸入申告書を提出してください。
提出のときに現物を見せる場面については、手続きのページのほうに一文があります。
書類だけでなく、持ち込む現物を確かめられる場合がある、という前提で準備することになります。申告書を提出いただく際に、持ち出し又は持ち込みされる現金等の現物を確認させていただく場合がございますので、出国時又は入国時に所定の申告場所で申告を行ってください。
申告をしないで持ち込むと、どうなるの?
うっかり申告しなかったら、どうなるの?
問い7の回答は、次の一文です。
注の(※)は、犯罪に係る貨物の価格の5倍が1,000万円を超える場合は、罰金の上限がその5倍になるという書き方です。回答はそのあと、申告せずに持ち込もうとして見つかった場合も同じ罰則だと続けていました。書面による申告をしないで輸出又は輸入をした場合には、関税法第111条の規定により、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下(※)の罰金が科されることがあります。
税関は、買い取る側にも何か求めているの?
売る側だけでなく、買い取る店にも関係があるの?
税関の「ストップ金密輸」緊急対策のページは、背景の最初に消費税を挙げます。
消費税の脱税目的の金地金密輸入の摘発が急増。
同じページの後半には、密輸された金の形についての説明と、買い取りについての呼びかけが並んでいます。
金は様々な形状に加工等され、密輸されています。
密輸された金を市場に流通させないため、疑わしい形状の金については買い取らないようご協力をお願いいたします。
なお、密輸された金と知って買い取ると罰せられます。
2026年7月には、金の輸出入のときに出す通関書類についてのページも公開されました。刻印のある金の定義は、次の一文です。
税関の呼びかけは、持ち込む人だけでなく、買い取る側にも向いていることになります。国内で金を売ったときの税金の扱いは、金を売ったら税金はかかる?で国税庁の案内を並べています。シリアル番号等のある金とは、製錬者を示すマーク、製造番号、純度及び重量を刻印したものを指します。
この記事で確認したこと
・純度90%以上の金の地金が1kgを超えると、書面の申告が要る
・書類は「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」で、入国時は税関検査の際に出す
・申告のときに、現物を確かめられる場合がある
・申告しないで持ち込むと、関税法第111条の罰則の対象になりうる
・税関は、疑わしい形状の金を買い取らないよう呼びかけている
線は金額ではなく、純度と重さの2つです。持ち帰る前に、手元の金がその線のどちら側にあるかを確かめておくと、到着してから慌てずに済みます。
よくある質問
1kgちょうどの金の地金は、申告の対象ですか
手続きのページの書き方は「1kgを超える場合」です。ちょうど1kgの扱いを別に説明した文は、今回読んだページにはありませんでした。
申告すれば、税金はかからないのですか
今回読んだページは、申告の手続きと罰則を説明するもので、持ち込んだ金にかかる税金の計算は扱っていません。緊急対策のページが消費税の脱税を背景に挙げていることまでが、ここで分かる範囲です。
どこに問い合わせればよいですか
よくある質問のPDFの最後に、各地の税関相談官の電話番号が並んでいます。手続きのページの最後にも、税関相談官への案内があります。
この整理が変わる条件
- 関税法や関税法施行令、外国為替及び外国貿易法の決まりが改められた場合
- 税関が「支払手段等の携帯輸出入の手続」や、そのよくある質問を改めた場合
- 持ち込む物が、純度90%未満の金や、金の地金以外の形である場合
出典
- 税関「支払手段等の携帯輸出入の手続」 https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/shiharaishudan.htm
- 税関「『支払手段等の携帯輸出・輸入申告書』の提出について(よくある質問)」 https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/faq_payment.pdf
- 税関「『ストップ金密輸』緊急対策」 https://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/stop.htm
- 税関「金の輸出入時における通関関係書類の提出について」 https://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/20260313.html
手続きや線は、出発前に税関の最新のページで確かめてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: